CONCEPT


コンセプト

住まいの性能コラム

都市生活におけるパッシブデザイン

【地域社会・地球環境に対する責任】

COLUMN No. 0006

パッシブデザインとは?

パッシブ(passive)を日本語に訳すと「受動的」となります。すなわち、パッシブデザインとは「自然エネルギーを受け止め(採り入れ)、それを活用する建築的手法(設計手法)」という意味を持ちます。そういう解釈では、わが国の伝統建築においても「パッシブデザイン」と呼べるような工夫が随所に見られたり、世界各地の伝統的な建築物にもその要素を見ることができます。
これは、現代のように容易にエネルギー源が入手できる時代がなかったことを考えると必然的なことでした。

そして現代においては、エアコンなどの設備になるべく頼らず、太陽の光、熱、そして風といった「自然エネルギー」を そのまま受動的に利用して、快適な温熱環境を実現しようとする思想と技術です。 住宅や建築の省エネ性を突き詰めて行くと、必ずクリアしなければならない課題だといっても過言ではありません。

快適は「機械」でなく「建築」でつくる

私たちフクダ・ロングライフデザインは、大阪市内など都市における家づくりにおいても、パッシブデザインは適用可能だと考えています。
もちろん、郊外の環境と比較すれば、日照・通風の条件は厳しくなりますが、私たちが考える全ての家において、以下の「パッシブデザイン5つの要素」について入念に検討し、できるだけエネルギーを使わない省エネの家づくりをご提案しています。

 

(1) 屋外の影響を受けずに一年を通じて室内を快適に保つ「断熱・気密」

室内と室外の境界における熱の出入りを抑制し、暖房設備の依存率を減らして室温を確保します。部分間欠暖房の場合は暖房エネルギーを20から55%程度、また、全館連続暖房の場合は暖房エネルギーを40から70%程度削減できます。

 

(2) 冬に陽射しを室内に採り込み暖をとる「冬期日射取得」

冬期に開口部から日射熱を取得し、蓄熱して夜間に利用します。
以下のような方法により、暖房エネルギーを5から40%程度削減できます。

  • 取得した日射熱の損失を抑制する断熱性の高い開口部を選択する。
  • 集熱面となる南向きの集熱開口部(真南±30゜の方位に面する開口部)を増設する。
  • 床・壁・天井などに蓄熱効果のある熱容量の大きい材料を使用する。

 

(3) 夏は直射日光を遮り涼をとる「夏期日射遮蔽」

夏期や中間期に室内に侵入する日射を遮り、室内を涼しく保つことを目的とします。以下のような方法により、冷房エネルギーを15から45%程度削減できます。

  • 日射遮蔽に効果のあるガラスを選択し、日射遮蔽部材(カーテン、ブラインドなど)や庇を設置する
  • 小屋裏換気量を大きく取ったり、屋根に通気層を設ける
  • 外壁に通気層を設けたり、反射率の高い外装材を使用する
  • 床面などの照返し防止や、庭木を利用する。

 

(4) さらに、室内の風通しをよくして涼しくする工夫

夏期夜間や中間期に外気を取り入れ、室内を涼しく保ちます。以下のような方法により、冷房エネルギーを10から30%程度削減できます。

  • 卓越風を直接取り込める開口部を設置する。
  • 風を呼び込める袖窓や出窓等(ウィンドキャッチャー)を設置する。
  • 屋根面の風圧係数が負になる部分に天窓や頂側窓等を設けて通風を確保する。
  • 引戸や欄間等を採用することにより、住宅内の通風経路を確保する。

 

(5) 日中は照明を点けなくても室内が明るい太陽の光の「昼光利用」

昼間の明るさを住宅室内に取り入れ、人工照明の利用を減らします。以下のような方法により、照明エネルギーを 2から10%程度削減できます。

  • 開口部から昼光を直接取り入れ、室内の明るさを確保する。
  • 室内の奥に光を導く吹抜け、欄間、反射可能な軒裏などを設置する。

これら「パッシブデザインの5つの要素」を採り入れた住宅は、自然の光や風を上手に活用して、冬が暖かく夏は涼しく感じることができます。

結果的に、電気やガスなどへの依存率が減少し、省エネでありながら快適で健康的な暮らしが実現できるのです。パッシブデザインを採り入れた住宅とそうでない住宅とでは、一般的には年間のエネルギー消費に最大「50%」の違いが出ると言われています。