ー本のある暮らしを楽しむ家ー⑤

2020年8月24日更新

さて今回はニュースレターでご紹介した、『本のある暮らしを楽しむ家』第6回、計画課題.②−1の最適解を導くための方法論についてご紹介したいと思います。
 
 
 
愛着のある土地で家づくりをスタートされるご家族の2階建てのお住いです。
 
敷地は堺市の北区、7行政区のうちの一つである北部に位置し、大阪市のベッドタウンとして住宅開発された街で、堺市唯一の地下鉄が区内を通り、2009年8月に南区を上回り、堺市最多人口の区となりました。
敷地は南東に道路、道路とほぼ高低差のない第1種中高層住居専用地域に指定された約70坪の整形な土地です。
 
 
ご要望は
・象徴的な本棚が欲しい
・プライバシーが高く周囲と目線が合わないように
・水廻りは道路から離して干し場は屋根付
・通風ができる雨戸が欲しい
・キッチンはスタディスペースが見え、リビングからは見えないように
・帰宅後、出発前の用意を全て一回で済ませたい
 
 
計画の課題及び提案
①.土地利用計画と家事動線に配慮したゾーニング計画
②.敷地に対して真北が45度東側に傾く際の日射取得と日射遮蔽の方法
 
 
検討を重ね最適解に至った方法論ですが、
②−1.キッチン内部からスタディスペースが見えるように、またリビングスペースからは見えないような配置の要望は、デスクを常に綺麗に整理しておかないといけない理由からです。
ゾーニングは家事導線で北側から南側にキッチン・ダイニング、デスクコーナーは南側、東側のリビングからデスクコーナーの手元は見えてしまいます。そこで手元を隠すために壁で囲ってしまう提案をしました。
出入り口をダイニング側に作れば、キッチン・ダイニングからはデスクコーナー内部がよく見え、家族の気配が感じられます。
デスクコーナーを壁で囲むことで、ダイニングとリビングが程よい距離感で繋がりながら、リビングに落ち着いた雰囲気も生まれました。
ただウッドデッキまでの動線上にデスクコーナーの壁に角ができ、窮屈な感じがしましたので、平面上R形状として柔らかい印象を持たせ、個性的な空間を作り出すことに繋がりました。
一般的に南側が開放された建物の長辺方向には、日射取得用の大きな窓をパッシブソーラーエリアの大きさに応じて規定の窓面積を設けることを目標とします。
デスクコーナーでは通風利用の窓でいわる小さな窓しか設けることができず、リビングの窓のみでは日射取得量が少なく真北が45度傾いているために、西側のダイニングでも南中時に多くの日射取得量が得られます。
西側隣接地はご両親の建物でプライバシーが守られるため、思い切ってダイニングの西側窓をベンチ上部から天井を高くして掃き出し窓を設置しました。
リビングの窓と同程度の大きさになり、パッシブソーラーエリアに対して日射取得を行うための窓面積割合が結果、ほぼ目標数値に近づき冬期の暖房費を抑える効果をもたらし、冬期には欠かせないぽかぽかした陽気に包まれた気持ち良さが得られました。
 
 
 
次回は計画の課題②−2.日射遮蔽の対策と方法についてお伝えさせて頂きます。
 
 
※ゾーニング(計画上のプロセスの一つで、空間を機能や用途別にまとめて必要な空間の大きさを設定し、相互の関連を見た上で位置関係を決定する設計手法です。)
※パッシブソーラーエリア=自然エネルギーを利用して空調機利用を抑える事ができる領域
 
 
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