ー中間領域と下屋を持つ北生駒の家ー①

2021年12月11日更新

さて今回は『中間領域と下屋を持つ北生駒の家』第1回、計画課題.①−1の最適解を導くための方法論についてご紹介したいと思います。
 
 
土地探しからスタートされたご家族4人の2階建てのお住いです。
 
計画地は南側に6Mの道路、敷地高低差は約1.0M、外壁後退1.5M、隣接する2階建住宅に囲まれた第一種低層住居専用地域に指定された整形な約70坪の土地です。
 
 
ご要望は
・飽きのこないロングライフデザイン
・年を経てもかっこいい家
・リビングと庭の間の空間を大事にしたい
・リビングと繋がって大空間となるように
・ダイニング近くにスタディコーナー
・1階に水廻り動線
・帰宅してまずは入浴の動線
・寝室は朝日が入るように
 
計画の課題及び提案
①−1.土地利用計画と家事動線に配慮したゾーニング計画
②.プライバシーの確保と終日日射取得の両立
 
 
検討を重ね最適解に至った方法論ですが、
①−1.計画地は境界線から外壁面後退が1.5Mで、残る建築可能な面積約45坪の中で水廻りを全て1階の要望から、まずは駐車駐輪、お庭、玄関アプローチの配置バランスを検討する必要があります。
 
 
【周辺状況他】
街区全体は大きな石を積み上げ約1Mの高低差があり駐車スペースは1台が駐車可能、約70坪の区画で形成された閑静な土地です。
 
北・東側は将来建て替えが想定される2階建、西側はこれから建設予定の更地です。
 
 
 
【土地利用計画】
まずは駐車スペースを決めるにあたり、現況駐車スペースは西側に配置されており、隣地側の既存擁壁で敷地高低差1Mの土留めになっています。
 
また東側周辺は石積みで敷地高低差の土留めがあり、駐車スペースを新たに設置すると残土処分及び土留めに費用を要するため、駐車スペースは順当に西側の隣接土留めを利用することでコストが抑えられます。
 
さらにもう一台の計2台必要ですので、間口はアプローチも含め約6.5Mは最低必要です。
 
駐輪スペースは、プランを重ねる中で必ずしも全ての台数を毎日使用するものではないため、駐車スペース1台分に設置される屋根の後方に1台停車できる奥行きを確保しました。
 
週末のみに使用するものは、スロープを作り道路から見えない建物の軒下に配置する計画としました。
 
お庭については、クライアントから大きな庭は必要ないとの理由から外へ出られる庭と併せて内部空間に奥行きを作るための庭を提案しました。
 
前者は高いプライバシーが要求されるため、お向かいからの視線も考慮し高めのウッドフェンスで囲い、後者の庭については、床に着座からの目線の高さを利用して低めの建築塀で内外に植物を配する提案です。
 
またお庭に高低差があり、安易にコンクリート擁壁では無機質で味気がないため、自然石及び傾斜を利用した外構計画を提案したい理由から、今計画では里山住宅博(https://kobe-sumai.jp/house/fld05/)でも使用したコンクリートに変わる石詰めユニット(https://www.5baimidori.com/cases/category/stoneunit.html)で提案しました。
 
アプローチにおいては道路側の南面に居室を優先的にゾーニングする為、西側のサイドアプローチとし敷地高低差の階段は、雑木林のような設えで大きなシンボリックな樹木を階段脇に配置することでより自然な設えとなります。
 
建物配置は、北側隣地からの外壁後退制限ギリギリまで北側に寄せかつ東西に長くしても1階水廻り諸室を含めた面積では不足するため、北東の角をバスコートして欠けを作り東側へ建物が突き出すように、変則のL型形状としました。
 
間口を3つの外構ボリュームに分け、西側からサイドアプローチ、1台目の駐車スペースとシンボリックな樹木、2つ目は屋根付き駐車スペースとプライバシーの高いお庭、3つ目は法面を生かした庭を作ることで、周辺への配慮も加味した土地利用計画を提案できたのではないかと思います。
 
次回は計画の課題①−2.ゾーニング計画についてお伝えさせて頂
きます。

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