代表の福田です。

これまで木材の産地（奈良県）や、金物製造の現場（新潟県）を訪ねてきましたが、今回は番外編として柱や耐力壁の破壊実験の見学です。
東京駅から首都高速で約30分。埼玉県川口市の町工場が立ち並ぶ「木構造技術センター（通称：ティンバーラボ）」までの日帰り訪問です（汗）。
ここは、SE構法を供給するエヌ・シー・エヌさんが運営する研究拠点でありながら、「全ての木構造の開発」も目標に掲げたラボです。

さて、実物大の破壊実験ですので、何が飛んでくるか分からない（笑）とのことで、全員ヘルメット着用です。

一級建築士で博士（農学）でもあるティンバーラボの小谷さんによる各試験機の説明と、これから行う破壊実験のレクチャーからスタートです。
先ずは、在来工法の柱で採用される「ホールダウン金物」の引っ張り実験から。

実験開始から間もなくして柱が浮き始め、5分ほどで実験終了です。
ホールダウン金物が破断し、垂直だったアンカーボルトも曲がってしまっています。
その時、柱は大きく浮き上がり、基礎との間に大きな空間ができてしまっているのが分かります。

次に、SE構法の柱脚金物に入れ替えての実験です。
ちなみに、この機械は「1000kN万能試験機」と名付けられ、接合部や部材の圧縮・引張実験を行うための装置だそうです。
最大1000kN、すなわち100㌧で引っ張ったり、押し潰したりできる機械です。

SE構法も最終的には柱脚金物の溶接部分が破壊され、実験終了です。
この時の力は約110kN（約11㌧）の引張力でした。
設計上の許容耐力は53kN（5.3㌧）ですから、今日の実験された部材では2倍以上の強度を持っていました。
また、アンカーボルトを介して、柱が基礎から大きく浮くこともなく接地しています。

大地震の際、激しい突き上げの後、建物を横から押す強い力が加わります。
その横からの地震力が基礎コンクリートから柱を引き抜いてしまうため、倒壊に至るというメカニズムです。
SE構法が地震に強い理由は、この柱脚の引き抜き力に耐える強度にあると言っても過言ではありません。
その強さを目の当たりにして納得です。

この実験後、ドリフトピンを抜くと直径10㍉の鉄の塊も湾曲してしまっていました。
10㌧の力がどれほど強力なのかが分かります。

※音が出ますのでご注意ください↑

在来工法とSE構法の引張試験を見学した後は、耐力壁の破壊実験です。
このひときわ大きな機械は「200kN面内せん断試験機」と呼ばれ、耐力壁やラーメン（柱と梁のフレームのこと）、屋根の水平加力実験を行うための試験機です。
導入価格も、うん億円だそうです（汗）

実物大の耐力壁を前に、重量木骨メンバーの仲間も興味津々に待機中です。

試験開始から約30分、壁の設計強度である11.3kN（1.3㌧）を大きく上回る、約27kN（約2.7㌧）で構造用合板がせん断破壊を起こし、実験は終了です。
ちなみに、SE構法は最低強度が決まっている1級合板のみを用いることで、耐力壁の強度を制御できます。

耐力壁が破壊された際の柱の角度は約13ラジアン（約4.4°）でした。
しかし、未だ柱脚金物と柱のドリフトピンは耐えています。
ティンバーラボ・小谷さんによると、先ずは「壁が壊れ」、その後に「接合部が壊れる」。
この順序が理想的な壊れ方で、今回の実験もその理想通りの結果とのこと。

全ての実験を終え、笑顔の小谷さんとのツーショット（笑）。

※音が出ますのでご注意ください↑

■おまけ
耐火試験を終えたSE構法の柱や梁の残骸！？も見せて頂きました。
45分耐火（準耐火建築物）の基準をクリアする耐火性能を担保できるのもSE構法の特徴ですが、この様な地道な検証に裏付けされているんだな〜と改めて感心した次第です。
SE構法専門の家づくり工務店として、そのルーツを訪ねる旅もいよいよ終盤です♪