さて今回は『環境と対峙する・大宮の家』第2回、計画課題.①−2の最適解を導くための方法論についてご紹介したいと思います。

ご両親の土地を受継ぎ、建て替えによるお住いです。 

計画地は大阪市の北東部に位置し、 北に淀川、住宅地の占有率が高く、駅前周辺には大阪有数の千林商店街を中心に多くの商店街があり大規模な商業地が形成されています。

東側には16Mの道路で歩道付き街路樹があり、敷地は歩道とほぼフラット、南・東側には高い建物に囲まれた路線の準工業地域で準防火地域に指定されたほぼ整形な60坪の土地です。

ご要望は

・経年変化とともに廃れない外観
・無駄な光熱費は使いたくない
・周辺環境を含め敷地の日照条件を分析してほしい
・周辺建物からの影響を最小限に抑えたい
・四方良しになる家（住み手、作り手、近隣、既存庭木）

計画の課題及び提案
①−2.土地利用計画とゾーニング計画
②.プライバシーの確保と終日日射取得の両立

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検討を重ね最適解に至った方法論ですが、
①−2.ゾーニング計画についてお伝えします。
今回はプレゼンテーションでの提案についてご説明いたします。

④建物のボリュームを検討する
面積算定し、ゾーニング

↓

⑤シミュレーション
デッキ、アクセスの設え、馴染ませる

建物はファサードの佇まいを整えるために、内部空間のバランスが崩れてしまうとうまくまとめられません。
まずは上下階の面積バランスを確認しつつ、構造面での不具合を併せて解消しまとめていきます。

それでは、面積から確認していきます。
前回の配置検討から敷地及び日射取得を有効に利用するためアプローチ、境界からの空き寸法を考慮し、間口（東西）は8モジュール（柱芯々910×8＝7,280）、奥行き（南北）5モジュール（柱芯々910×5＝4,550）で設定しました。

今計画においては、生家での暮らしから時が経ち周辺状況も変化し、1階が主階となる生活がイメージできなくなり2階をメインフロアーとしました。

1階のゾーニングについて、
道路際にゆとりを作り、アプローチ、ビルトインの駐輪スペースに軒下空間を作り、風雨にさらされないよう配慮しました。

それでは、住居スペースのゾーニングをご説明します。
玄関は通りからの視線を考慮し、道路正面から回り込むように配置しました。

まずはプランニングで重要な階段位置の検討に入ります。
階段位置は構造計画と合わせ建物の背中となる北側にゾーニングすることが多く、特に主階が2階にある場合は2階の南側に大きな空間が作りやすい事と空間を分断することなく計画が可能です。
構造計画は北側から2モジュールと3モジュールに分け、階段を北西角に2モジュールを使って配置。

水廻りは通りから最も遠い西側に配置し、窓を配置しない納戸スペースはファサードに影響を与えない北東に。
また今回は、当社から要望になかった以下の提案も行いました。
大事にされている既存樹木の庭を愛でることを実現したく、居心地の良いスペースを作りたいと考え南側の庭に正対するように配置。
周辺状況から主階が2階となり既存樹木は2階からでも視線に入ってきますが、この場所であれば1階の床続きから南側隣接建物を意識せず愛でることができ、且つ1階であってもプライバシーの高い居心地の良いスペースとなりそうです。
約2.5帖ほどのスペースですが作り付けソファーに本棚を備え付け、本を読んだり寝転んで昼寝をしたりとほっこりする時間を大切にし、楽しんでもらいたいと思い提案しました。

続いて2階のゾーニングです。
構造計画は、北側から2モジュールと3モジュールのグリッドに分け、
東西に4モジュールづつの田の字型で4つのエリアからなるシンプルな計画としました。
階段とトイレは、北西のエリアを利用します。
スペースの関係から寝室と畳リビングを兼用する提案を行い、
寝室にもなるこのスペースは幹線道路から距離を保つため南西のエリアに配置。

キッチンダイニングは、北東及び南東のエリアを使い、南から東へダイニングキッチンから収納に至る利用としました。
東側エリアの南から東面にL型に建物に取り付くようにもう一つのスペースとしてルーフバルコニーを用意しました。
このスペースは、ダイニングスペースを広く見せることと半戸外空間でプライバシーの観点から
窓のカーテンを開けやすくする目的で、屋根形状の勾配天井でさらに気持ちの良い空間になると思います。
東側建物から西日の照り返しをタープ、簾等で遮りやすくしやすいことも同時に考えルーフバルコニーを提案しました。

また畳リビングは2階にありますが、あえて窓を床から設け背もたれを木部材で作り、
中間期では畳に腰掛けながら風を感じ、就寝時にも気持ちの良い風を感じることができ、
さらに窓付近に樹木を配することで樹木の影を落とし、四季を感じながら安らぎを得られる空間になることを願っています。

最後に道路に面して窓のある建物ファサードにおいては、シンプルな建物形状、
機能性を持たせたルーフバルコニー、外壁のテクスチャーを懐かしさも感じられる
モルタル掻き落とし仕上げとすることで、幹線道路に面する外壁は経年変化とともに
廃れないファサードを目指しました。