さて今回はニュースレターでご紹介した、『アウトドアリビングと趣味を楽しむ土間のある家』全5回の第4回、
計画課題.②−1の最適解を導くための方法論についてご紹介したいと思います。
土地探しからスタートされたご夫妻の2階建てのお住いです。
・敷地は大阪府北部、京都府大山崎町との府境に位置し、大阪市や京都市のベッドタウンとして住宅開発された街です。
町全体の7割が山岳・丘陵地で、皆さんも御存知のサントリーホールディングスのウイスキー蒸留所があり、シングルモルトウイスキーの「山崎」は有名ですね。
南側4.8M道路、道路とほぼ高低差のない第1種中高層住居専用地域に指定された整形で南北に長い約35坪の土地です。
ご要望は
・外観色は黒
・プライバシーが高く周囲と目線が合わないように
・ロードバイクを室内に
・アウトドアリビングがほしい
・小さくてもいいので、将来用の子供部屋が2つほしい
計画の課題及び提案(2階LDK)
①.土地利用計画と家事動線に配慮したゾーニング計画
②.プライバシーを考慮したプライベートバルコニーと日射取得
検討を重ね最適解に至った方法論ですが、
②ー1.南北に長い敷地且つ南側道路の場合、配慮するべき点は2階南側リビングのプライバシーと北側ダイニング・キッチンの日射取得です。
住宅密集地で大屋根が掛かる北側諸室に明るさと暖かさをどうもたらすことができるかを検討します。
明るさと暖かさには違いがあり、明るさはとにかく窓をたくさん設ければ明るくなるのは皆さんおわかりだと思いますが、それでは窓から熱が逃げたり室内に入って来たりと温熱的環境が良いとは言い切れません。
外気温の影響をもっとも受けやすい部位は窓ですので、太陽熱を効果的に使える南面に面した窓を大きくし、北側の室内に届くような窓選定にする必要があります。
そこで考える屋根形状ですが、切妻も片流れも外周部の外壁でしか窓を取り付けることができない、それでは周辺の建物から影響を受け冬期太陽熱を享受できない為、まねき屋根という形状を採用しました。
次回は計画の課題②−2.プライバシーを考慮したプライベートバルコニーと日射取得についてお伝えさせて頂きます。
※まねき屋根:切妻屋根(スタンダードな三角屋根)の一方の屋根面を長くして、もう片方を短くした屋根のことを指します。2面の屋根面が段違いになっているのが特徴的です。