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さて今回は『ボイドを備える2間間口の家』第2回、計画課題.①−2の最適解を導くための方法論についてご紹介したいと思います。
 
 
愛着のある土地で家づくりをスタートされるご家族の3階建てのお住いです。
 
 
敷地は大阪市東部に位置し、近年では区の西・北部に高層マンションの建設が進み、ファミリー層には住みやすい環境の街です。
皆さんもご存知の牛乳石鹸・タカラスタンダード・ハナテンなどの企業が本社を置いています。
計画地は北側に道路で、対側に10階建てのマンション、東側に3階建て、西側は分譲住宅予定地、南側は5階建ての建物に囲まれ、準工業地域に指定された間口4M弱の南北に長い約21坪の土地です。
 
 
ご要望は
・家事など効率的な動線
・吹抜けなどあると寒いイメージがあり、あったかい家で過ごしたい
・希望しているキッチンをペニンシュラ配置でスッキリ暮らしたい
・明るいダイニング・リビングから緑が見たい
・リビングは吹抜けとつながる空間
・デッキとは別で洗濯物を干したい
・寝室・子供部屋からアクセスできるファミリーCLが欲しい 
 
 
計画の課題及び提案
①.土地利用計画と家事動線に配慮したゾーニング計画
②.南側に5階建が建ち、日射取得が期待できない中、明るい室内は実現可能か?
 
 
検討を重ね最適解に至った方法論ですが、
①−2.特に3階建ての住まいの場合、家事動線はできるだけ上下移動を避けたいものです。
最初に検討することは、中庭の要望がありLDK想定の2階で家事動線も配慮した諸室配置した面積が建ぺい率70%の範囲に収まっているか確認をします。
面積配分でできるだけシンプルな建物形状になるように諸室を各階に振り分けるのですが、小さいお子さんを抱える家族にとって炊事と洗濯エリアが上下階で離れてしまうとお子さんに目が行き届かなくなりストレスとなりますので、配慮したゾーニングが必要です。
そこで2階はリビング・ダイニング・キッチン、中庭、トイレ・手洗い洗面、ランドリールームを建ぺい率制限内に納め、1階には防犯対策も兼ねて小窓で通風のみ対応できる浴室・洗面、ゲストルーム、玄関・ホールとシューズクロークとし、小窓は窓幅が人の頭が入らない程度のサイズで高さが約1Mほどの窓で防犯対策を行い、開閉形状をたて滑り出しとしてウィンドウキャッチ効果で、上階で生活していても窓を開けて換気ができるよう配慮しました。
さらに2階の面積で建物のボリュームを決定しているため、上記の諸室数から一部ビルトインの駐車スペースと玄関との間に駐輪スペースを屋根付きで設けることができます。
かつ、あえてビルトインとなる駐車スペースの外壁ラインを2階外壁ラインより後退させることで方持ち梁となり構造面のコスト増になりますが、同時にファサードの見え方も検討していきます。
3階においては、主寝室とウォークインクローゼット、子供部屋とし、建物に凹凸が生じないように面積調整から道路側にバルコニーを配置し2階の中庭上部を吹抜けとしました。
3階建で、建物の空間の良し悪しが決まるといっても過言ではないのが階段配置と形状です。
建物間口が小さく南北に長いので、階段をうまく配置できないと中途半端なお部屋もしくは空間ができたり、必要なお部屋の面積を確保できなかったりとプランニングがうまくできるかが決まってしまいます。
また弊社の標準階段が、一般木造住宅の階段より1.3〜1.4倍と大きいため、より難しくなります。
階段形状は大きく分けて直階段と折り返し階段に分かれ、以外にもかね折れ・らせんなどありますが、直階段は壁側に配置すれば階段以外のスペースを別の用途として使用できますが、デメリットは昇降した際にローカなどが長くなってしまう恐れがあります。
折り返し階段の場合は、昇降した際にホールが最小面積で各お部屋に入ることができ、ローカを最小限に抑えることができますが、デメリットは、今回のように間口の小さな建物の際は長手方向に用途が分断してしまいお部屋の連続性が損なわれます。
しかし弊社の緩やかな標準階段では踏み面及び蹴込み寸法から、昇降する際のホール寸法がゆったり取れて無駄のない寸法感になったため折り返し階段を採用し、ご説明したデメリットのお部屋を分断しないようなゾーニングができるかどうかが鍵ですので、次回にでも説明したいと思います。
要望の部屋数から階段は中央配置が可能であると想定され、全階プライベートスペースを道路から離れた階段から南側に配置しました。
階段を中央配置にした場合、懸念されるLDKの広さを確保できるか2階のLDKのメインフロアーからゾーニングを行います。
要望のキッチンをペニンシュラ型にする場合収納などを配置するため、道路側からキッチン・ダイニング・リビングと配置し、階段を東西方向にホールをローカ兼用として、ご説明した折り返し階段のメリットである効率的な配置が可能でした。
最も南側にはトイレ・洗面、ランドリールームを配置し、要望の中庭を階段との間に設け、建ぺい率の制限内に収めることが可能でした。
効果はリビングから洗浄音・洗濯機を回す音など軽減でき、かつ空間に奥行きを作ることができました。
1階は最も道路側から遠い南側に浴室・洗面スペース、階段との間にゲストルーム、スペースを効率的に利用するため階段の下にトイレ、階段の脇には玄関からシューズクロークを2WAYで納め、ホールにゲストルーム用の押し入れと外出用のCLスペースを設けました。
間口の小さい敷地の場合、疎かにされるのが駐輪スペースです。
玄関脇に駐輪スペースがあると理想ですが、1階床面の高さは道路から約60センチ程度上がっていますので、玄関前に2段のステップが必要になりうまく駐輪スペースが取れないケースがほとんどです。
今回は道路と敷地に高低差がなかったため、道路から駐車スペースをスロープにして玄関脇に駐輪スペースを確保し、建物間口方向に必要な耐力壁を作りながら道路から駐輪スペースを見えづらくすることができました。
最後に3階ですが、階段を上がった脇に家族の衣類を収納できるウォークインクローゼットを設け、ローカを最小限に抑えています。
主寝室は中庭上部の吹抜けを囲むように配置し、ベッド配置はプライベート感が高まりかつ寝室内にも2間間口のクロークも設置しました。
また子供部屋は屋根形状を生かして勾配天井とし、プライバシーを守るためバルコニーの手すり壁を高くしてプライベート感を高めました。
以上のように平面・断面計画では最小限に家事動線を配慮し、同時にファサードも意識しながら計画を行い、少しでも廃れないデザインを心がけ3世代が安心して暮らせる建物だからこそ、ファサードの佇まいも大事にしたいと考えています。
 
※ウィンドウキャッチ:建物の隣棟間を流れる風を効率的に障子に当てて室内に取り込むパッシブデザインの手法の一つ
※折り返し階段:U時型に折り返す階段
※直階段:真っ直ぐで折り返しのない階段
※ファサード:建物の正面。一般的には玄関のある面を言いますが、外観として重要な面であれば、側面または背面もファサードとも呼ぶ場合があります。
 
 
次回は計画の課題②.についてお伝えさせて頂きます。
 
 
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