【vol.10】コラム「諸室をL型配置にしたことで問題が解決したプラン」

2014年7月6日更新

こんにちは設計チーフの千知岩です。
さて今回は、先日ご提案させて頂きました、HN邸のプレゼンテーションにおいて、最適解を導くための手法についてご説明させて頂きます。
 
土地探しからスタートされたご家族4人の2階建てのお住いです。
 
敷地(開発造成地)は東側に5M道路・北側一部に6M道路で1M程高低差のある台形敷地、西側には専用通路の先に林、南側区画は更地だが2階建住宅の想定が必要な第1種低層住居専用地域に指定された50坪弱の土地です。

コンセプトでもあるご要望は 
・ゼロエネ住宅
・ソファーがいらない
・キッチンガーデン
 
初期案として2階に家事の楽な一連の生活動線と、タタミリビングのある和モダンなデザインをコンセプトに計画をスタートさせました。

計画の課題として
 
1.2
階部分の家事動線を完結させるためには、水廻りと大きな干場が必要になるが建ぺイ率40%で実現可能か。
 
2.
南側は更地で2階建住宅が建つ想定を行い、南面から日射取得(冬の太陽熱)は可能か、またゼロエネ仕様とするため、北側斜線をクリアする南側傾斜の太陽光発電パネルを搭載する屋根は可能か。
 
北側斜線とは
南面に一定の日射を確保するため、北側建物の高さを制限する。(建築基準法)
 20140621_畠中邸 スケッチアップ2.jpg

スケッチ2.jpg

検討を重ね最適解に至った方法論ですが、

1.敷地が台形の性質上、東西に間口を大きく確保することが難しく、南北・東西にほぼ均等にL型配置させることで、北側から水廻り→パントリー→キッチン→ダイニング→タタミリビングと最低限必要な面積を割り当て、北西に視覚的奥行を感じられるようにオープンな階段としました、また南側にはプライバシー性をもたせた最低限の奥行のバルコニーを確保し、建ぺい率の余った面積を全て階段に隣接する屋根付きの大きなバルコニーに出来ました。 

2.南傾斜の屋根を作るためには北側から最低5.5M離隔距離が必要です、それでは南側にバルコニーを作ることが出来ません、そこでLDKの周辺にある水回り・階段・干場は天井高を低めに設定して、できるだけ建物を北側に配置させることで、LDKの範囲を南傾斜の太陽光発電パネルを搭載した屋根をつくることが出来ました、また日照シュミレーションのチェックでも、冬期終日の日射取得が可能になりました。

 今回パッシブデザインの設計において、南面の窓は基準値を満たせていないため、日射熱利用は積極的に考えておりません、それによりHN邸はCCF導入もあるがゆえに他面も含め窓面積を抑えていくことで、燃費の良い高性能設計となっています。

竣工後はぜひ建物性能を実測させて頂きたいと考えています。

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