【vol.11】コラム「屋根形状を腰折屋根としたことで問題が解決したプラン」

2014年10月13日更新

こんにちは設計チーフの千知岩です。
さて今回は、先日ご提案させて頂きました、SU邸のプレゼンテーションにおいて、建築のプロである御客様とのコラボレーションについてご説明させて頂きます。
 
土地探しからスタートされたご家族3人の2階建てのお住いです。
 
敷地は東西に長く、当該敷地は駐車場スペースから奥が3M下がり、そこから更南側は1.5M下がって2階建住居、西側は谷で眺望が開け、東側6M道路(20%勾配)に接続する50坪程度のひな壇型造成地です。
 
御客様のプランは西側の眺望を上手く取り込まれたプランニングとなっており、
・1階は寝室に隣接した見晴らしの良い西側配置の洗面及び浴室
・2階LDKは北側斜線を屋根形状とし、SE構法の特性を活かした大きな吹抜空間
・玄関(2階)から続くダイニング・キッチン、そこからスキップしリビングさらにウッドデッキへと開放
・3階は吹抜からつながる眺望の良いライブラリー
 
上記の御客様プランから弊社ができるお手伝いとして、温熱の要素を加えながらパッシブデザインとしてどのような提案ができるかを課題として計画をスタートさせました。

計画の課題として
 
1.第1種低層住居専用地域において3階建となる建物が建築基準法上可能か。
 
2.パッシブデザインとしての検証及び光熱費を抑えるには。

20140826_杉浦邸 スケッチアップ2.jpg
 
検討を重ね最適解に至った方法論ですが、
 
1.南側3階のライブラリースペースの高さを確保するため、3階に該当する屋根を緩勾配とし腰折がある片流れ屋根としました。
当該地域の3階建は北側の指定された範囲に決められた時間以上の日影を落としては行けない地域であるため、日影図にてシュミレーションを行いました。
 
2.室内における日照シュミレーションを行い、冬期の午前中はLDKの北側壁面及び午後は西面の床に必要量の日射熱を蓄熱させることが可能となります。
夏期において、南面の窓は高さの1/3の庇を作り西面は内側ではなく外側に可動ルーバー雨戸にて室内に入る日射熱量を90%近く抑えることが可能となり、冷房を前提としない暮らしが可能となります。
 
※可動ルーバー雨戸:風通しを確保しながら防犯も可能な通気型引込雨戸
 
SU邸は緑豊かな周辺環境を上手く利用された案ですので、ダイナミックな空間をSE構法で活かしながら、健康で快適な室内環境づくりを弊社より温熱的観点から提案することで、五感を感じられる気持ちのよい住間を、御客様のお手伝いをさせて頂きながら作りあげたいと思っています。

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