ー景色と共に暮らす東香里の家ー①

2022年3月13日更新

さて今回は『景色と共に暮らす東香里の家』第1回、計画課題.①−1の最適解を導くための方法論についてご紹介したいと思います。
 
 
 愛着のある土地で家づくりをスタートされたお2人の2階建てのお住いです。
 
 
計画地は南側に幅員15Mの道路で北へ高さ約5Mほど下る斜面地、さらに高さ3Mほどの既存石積み擁壁があり南北道路の高低差は最大で8.5M、東西の隣接地も同じ敷地形態で幹線道路を挟んだ街区の境界に位置し、第一種住居地域に指定された台形型の間口約12M奥行き約14M、約52坪の土地です。
 
 
 
ご要望は
・店舗のように見える外観
・バイクは広い玄関におきたい
・キッチンはペニンシュラタイプ
・キッチンとダイニングの目線を合わせたい
・キッチンとダイニングを一体で作りたい
・今ある大きなちゃぶ台を利用したい   
 
 
 
計画の課題及び提案
①−1.土地利用計画とゾーニング計画
②.プライバシーの確保と終日日射取得の両立
 
 
 
検討を重ね最適解に至った方法論ですが、
①−1.約52坪ある土地のどこに家を建てるか、斜面にどういった土留を施し建物の地盤を形成するか、北側の眺望を生かしながら、プライバシー、道路との関係、周辺の状況等様々な検討をする必要があります。
 
 
 
【周辺状況他】
敷地間口約12M、南・北共に道路勾配はなし、西・東の隣接敷地は北に向かい約30度の法面及び階段形状の斜面地になっています。
 
東には2階建住宅で、西面は3階建鉄骨造の商業施設です。
 
南側は歩道のついた府道敷で交通量が比較的多く、北側は高低差8.5M下がった住宅街を眼下に、さらに北部の山並みは気持ちの良い眺望が広がっています。
 
 
 
 
【土地利用計画】
建物を建てる上で、斜面地に水平な地盤をどのように作るか検討します。
 
それには南道路寄りに切土を施し土留めをするか、北側既存石積擁壁側に4Mを超える擁壁を作るか等他に方法がないか検討する必要があり、どのような擁壁が敷地を有効に使うことができるかコストも考慮し検討しました。
 
仮設工事、残土処分等考えると南側寄りに切土で新設石積み擁壁を作り、建物との間にドライエリアを作る案がコスト他の面で最も現実的であると判断しました。
 
ただこれだけの高低差である以上、法律面の裏付けなしに進めることができないため役所へ確認に向かいました。
 
計画地は宅地造成法規制区域で、切土2M・盛土1M以上の形質の変更を行うと申請届出が必要となり相応の時間と手間を要します。
 
結果、問題は最下段にある既存石積み擁壁高さ3Mがあることで、申請許可までに至るまでには無理があると指摘を受けました。
 
擁壁には2段擁壁という問題があり、その部分に抵触しかつ既存石積擁壁に検査済証がないため安全性が確認できないためです。
 
法面は30度であればそれ以上崩壊しないという性質がありこれを安息角と言います。
 
高低差を安息角のみで処理すると、コスト面では安価に抑えられますが、肝心な建物を建てる場所がなくなってしまいます。
 
地業は常に不安要素を想定し、地盤の安全性を確認・検討します。
 
擁壁は土地の有効利用を図るため、高低差の土圧を支えフラットな地盤を形成するのが目的ですが、擁壁でフラットな地盤形成の計画に無理があると判断しました。
 
そこで、改めてこれまで考えてきた検討案をリセットし、高低差を処理する施工方法の一つである高基礎案で検討をし直しました。
 
建物基礎で斜面の最下部は基礎高さが4Mを超えるため、計画スタート時は無理があると判断してしまい、土地形状を生かして斜面に高基礎方式は検討の対象にしていませんでした。
 
そんな高さのある基礎を基礎業者が作れるのか、また構造が成立するのか疑問視していました。
 
斜面地に高さのある基礎でコンクリートを型枠に流し込む際、かなりの側圧がかかり不安定な地盤で施工が可能か。
 
担当の篠原と再度検討し、あるヒントが浮かびました。
 
基礎を施工可能なように無理のない高さで分割して作ることで基礎施工に時間を要するが、基礎業者及び構造面での確認を行いました。
 
結果、さまざまな問題はあるが検討していくことで可能性はあると判断しました。
 
擁壁工事は工事中に隣接地への影響は大きくなるが、建物の基礎工事を斜面に作ることができれば周辺への影響は少なく、工事期間中の周辺への影響を解消できるだけでも不安要素を少しでも取り除くことができます。
 
しかし仮設工事、工事車両搬出入、重機設置等問題は山積です。
 
検討を進める中、さらなる問題が発生しました。
 
解体工事が完了した際に敷地全体が斜面になってしまい、工事車両が基礎位置まで寄りつけない、もう一つは斜面に接する基礎は高いところで高低差が4Mを超えるので、南の道路から4M下がった地盤面、杭工事を施工する場所にレッカー車両で重機を下ろすことができないため、担当者の篠原と都度協議・検討を行い、一つのアイデアが生まれました。
 
既存建物の基礎の一部を南道路の土留めに利用し全面鉄板敷きの上、工事車両、重機を建物基礎位置まで寄り付けるようにします。
 
また杭工事に於いては、解体工事を2期に分け1期工事の際、南道路から重機を大型レッカー車で下ろすことができる約2.5M下がったところに仮想地盤を作り、杭工事施工が可能となります。
 
上記から逆説的に工事施工が可能か考えながら、北側の既存石積み擁壁から建物を配置し、南側道路に駐車スペースを確保できる建物配置としました。
 
今計画を進めていく中で、設計のみで進めてしまうと工事の可否等問題が発生してしまい、計画を進め設計後に断念するかコスト面で大きな負担を強いられるかということです。
 
我々は設計工務店であるが故、工事の施工方法・コストを考えながら設計・施工(現場管理者、協力業者)の双方で協議しながら計画を進め、この土地における最適解を導き出します。
 
 
 
次回は計画の課題①−2.ゾーニング計画についてお伝えさせて頂きます。

 

 

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