ーヴォイドから派生する豊中の家ー②

2022年12月4日更新

こんにちは。
チーフプランナーの千知岩です。

さて今回は『ヴォイドから派生する豊中の家』第2回、計画課題.①−2の最適解を導くための方法論についてご紹介したいと思います。
 
 
土地探しからスタートされたご家族3人の2階建てのお住いです。 
 
 
 
計画地は、豊中市北部に位置し、箕面市に隣接する古い住宅地で、桜並木が有名な街並みでもあります。
南側4M道路、4区画分譲地の南西側に位置し第1種中高層住居専用地域に指定された南北に長い約33坪の土地です。
 
 


ご要望は
・すっきりした外観
・瓦屋根
・大容量の収納が欲しい
・動きやすくコンパクトな動線
・ヌック空間がほしい
・家族が自然とリビング(1階)に集まる家にしたい
・洗濯動線は同一階で完結したい
・中間領域、共有空間を豊かに
 


 
計画の課題及び提案
①−2.土地利用計画とゾーニング計画
②.プライバシーの確保と終日日射取得の両立
 
 
 
検討を重ね最適解に至った方法論ですが、
①−2.ゾーニング計画についてお伝えします。
土地購入から始められるクライアントの場合、検討プランの提案を行います。
土地購入に際し、要望の詳細までは盛り込んでいませんが、ボリューム感を把握して土地購入の判断にして頂きます。
同時に要望がどの程度盛り込めるかの判断材料にして頂きます。
 
すでに検討プランからゾーニングをあらかじめ検討頂いており、1階リビングダイニングキッチン、
2階に水廻りと収納のイメージを作っておられましたので、佇まいからゾーニングを行う必要性をすでにご理解頂いていました。
 
検討プランで上下階バランスの検討を終えた面積から、建物奥行は縦列駐車スペース、
庭の寸法確保から奥行き9モジュール(910ミリ×9=8,190ミリ)とし、
間口は6.5モジュール(910ミリ×6.5=5,915ミリ)にて設定しました。
 
まず1階のリビングダイニングキッチンの配置を検討します。
庭に隣接させる諸室は、建物間口から玄関スペースを除くと概ね半分となってしまい、
道路の対側が2階建て+αの高さを考慮した上で明るさ等を考えると南面を吹抜けで補う必要があります。
またリビングダイニングキッチンはそれぞれの家具をしっくりくるように配置したいため、
あらかじめパントリー収納、キッチンからダイニングの配膳、ダイニングテーブル、リビングの家具配置なども
考えながら違和感のないようにバランスよくゾーニングを行います。
 
吹き抜けのある大きな空間では、わいわいと楽しめたり庭で食事を楽しんだりできるダイニングが理想ですので、
西ゾーンの北からパントリー、キッチン、ダイニングを配置しても少し空間に余白が残ります。
 
リビングは北東の庭側に配置することで明るさを確保でき、
樹木・ウッドフェンスで隣接地のアプローチからプライバシーを守ることができます。
しかしキッチンに隣接するため、対面式のキッチンではリビングから内部が見えてしまい台なしです。
そこでキッチンをI型にし、キッチン背面の壁を目線あたりまでの高さに抑え、
空間はつなげながらキッチン内部が見えなくなるので、リビングを囲み感のある落ち着いた空間にすることが可能になります。
またキッチンからリビング東側の2つ目の庭、さらに南側への庭まで抜けができ、気持ちよさが広がります。


 
続いて階段についてですが、前回、上下階のつながりを重視して階段を単なる移動手段ではなく、
1・2階で家族の気配をつなぎ、楽しめる空間の一部として、階段及び吹抜けのヴォイドに役割をもたせるご説明をしましたので、
上下階移動のストレスにならないような階段配置と役割について説明します。
 
まずストレスフリーなポジションは、中央です。
建物のどこからでも一番近くにあること、また階段が居場所になるような設計とすることで、
単に移動手段にとどまらない空間になります。
キッチンをI型にしたことで、キッチン内部が見えなくなり、
キッチンとダイニングテーブルの間を抜けるとすぐに階段。
またリビングの横に隣接することで、ソファから連続するようにひな壇の階段に子供たちがそこに腰かけて遊んだり、本を読んだり楽しみが増えます。
折り返し階段は踊り場も居場所になり、子供たちには居心地が良さそうです。
 
先ほど、西ゾーンの配置から庭側に少し余白があることをお伝えしましたが、
東西方向にはゆとりがないため動線を確保することと視線がスッと庭まで抜けるように、
ダイニングエリアの外壁側にベンチを造り付け、キッチンバック収納から同じ奥行きが連続するようにダイニングと庭の間にデスクスペースを配置しました。
ベンチは漆喰仕上げのままとし、造作で背当てを作り付けてクッション等を置いても奥行きの深い座面が確保できますので寛げます。

 
デスクの対側は当初本棚の予定でしたが、担当の篠原からクライアントに喜んで頂けるようなアイデアで提案を行いました。
ヌック空間が欲しいとの要望がありましたが、当初はリビングをより奥まった位置にしてヌックのようなこもり感を提案をしましたが、
篠原より居心地のよさそうな本棚をセットにした高さを抑えたこもれるヌックを提案しました。
レンダリング画像で見た際すごく素敵な空間だなと感心し、クライアントにも大変喜んで頂いたことを記憶しています。
冬場はポカポカした暖かさに包まれ奥まった部分には陰影ができ、
外からは見えない上部空間にはペンダント照明もあり、本をたくさんしまうことができる工夫などが詰まっています。

 
それでは1階の部分で最後になりますが玄関についても少し触れておきたいと思います。
前回の説明で、敷地形状・プライバシーなどの観点から南東に玄関をゾーニングしました。
アプローチ、ポーチは1階床レベルまで数段のステップが必要なため一定の奥行きが必要ですが、
今回は庭のプライバシー確保、ファサードの佇まいから南東部分をあえて91センチ(1モジュール)道路側に突き出しました。
そうすると道路からの距離が足りません。
そこで敷地と道路の高低差はスロープとサイドステップで処理し、敷地レベルから1階床までの高さについては、
玄関内部にステップを作ることで屋外の段数を減らすことに繋がり、
降雨時など楽に荷物を室内まで運び入れることができます。
 
続いて2階のゾーニングですが、階段と吹抜けに繋がる部分に子供部屋を配置し、2階にいても気配を感じ取れるように考えました。
また階段昇降口には子供部屋の間口いっぱいに閉じたり開いたりする引き込み戸を作り、プランバシーにも配慮しました。
また将来の可変性を考慮して勾配天井の子供部屋には梁材を中央に設け、
間仕切り・建具など取り付けしやすくできるように設置しました。
 
北側配置の水廻りは、西側から浴室・脱衣洗面スペースからファミリークロークへつながり、
洗濯から乾燥機を経由してファミリークロークへ収納できるよう家事動線の負担軽減を考えたゾーニングとしました。
また階段からホールに面した水廻りに必要な収納を設け、直接ファミリークロークへの動線も用意しました。
ファミリークロークは屋根形状を生かした天井高とすることで、衣類に限らず納戸としての収納量も確保しました。
 
最後に寝室ですが中央の階段から南側の配置とし、窓は朝日が差し込む東側のみに設け、
道路面には吹き抜けに面した大きな窓と建築庇、軒高さを抑え重心を低くして魅力的な佇まいとなるようファサードを整えました。

 
次回は計画の課題②.プライバシーの確保と終日日射取得の両立についてお伝えさせて頂きます。

 


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