ー環境と対峙する・大宮の家ー③

2023年11月2日更新

こんにちは。チーフプランナーの千知岩です。

さて今回は『環境と対峙する・大宮の家』第3回、計画課題.②の最適解を導くための方法論についてご紹介したいと思います。

 

 

ご両親の土地を受継ぎ、建て替えによるお住いです。 

計画地は大阪市の北東部に位置し、 北に淀川、住宅地の占有率が高く、駅前周辺には大阪有数の千林商店街を中心に多くの商店街があり大規模な商業地が形成されています。

東側には16Mの道路で歩道付き街路樹があり、敷地は歩道とほぼフラット、南・東側には高い建物に囲まれた路線の準工業地域で準防火地域に指定されたほぼ整形な60坪の土地です。

ご要望は

・経年変化とともに廃れない外観
・無駄な光熱費は使いたくない
・周辺環境を含め敷地の日照条件を分析してほしい
・周辺建物からの影響を最小限に抑えたい
・四方良しになる家(住み手、作り手、近隣、既存庭木)

 

計画の課題及び提案

①.土地利用計画とゾーニング計画
②.プライバシーの確保と終日日射取得の両立

 ーーーーーーーーーーーーーーー

検討を重ね最適解に至った方法論ですが、
プレゼンテーションでの提案についてご説明いたします。
②.パッシブデザインにおいて日射取得検討は、周辺建物の影響から敷地における最も日射熱取得の高いエリアを探すことから始めます。
特に周辺の建物で囲まれた市街地においては、断面設計だけでは確認ができないため、日照シュミレーションを行いながら冬期10時間の日照がある中で南面を中心に日射熱取得の検討を行います。

 

【周辺状況を把握】

南側は境界に近接する3階建社屋があるものの、日照シミュレーションで2階は日射取得が均一にまた1階には時間帯によって日射取得が得られることがわかりました。
西側隣接地は3階建て住宅が建っているが、建物隣接部分は隣地の駐車スペースで日射遮蔽が必要です。
北側においては、真北が東側道路軸線とほぼ誤差がないため、西及び東からの夏期日射遮蔽対策を講じる必要はなさそうです。
東側は、日射遮蔽及び東側建物の西日照り返しでの外部側での遮蔽対策が必要です。

 

【建物形状から日射取得の確認方法】

ここで、明るさと暖かさの違いについて前回に続き、繰り返し触れておきたいと思います。
明るさ(導光)については後日改めて説明させて頂きます。
室内を明るくすることは難しいことではありませんが、暖かくするためには日射熱をダイレクトに室内へ取り込む必要があります。
建て込んだ市街地では周辺状況に左右される為、プランの初期段階でどこから熱を取り込むことができるのか詳細な検討を行います。
熱源を持たない断熱気密化された建物は、そのままでは冬期には暖かくなりません。
室内を暖かくするには暖房設備が必要ですが、まずは自然エネルギーを利用できるものならできるだけそうしたいですよね。
冬期の太陽高度は地域によって異なりますが、関西圏における冬期の南中高度(正午)は約31度です。
また午前午後は、太陽高度の軌跡により角度が変わります。
周辺状況をgoogle earth で確認及び現地にて仮測量を行い、3Dモデリングで日射熱を建物のどこに受けることができるか、どの時間帯に日射熱が最も多く得られるかを検証していきます。
今計画においては建物を最も北寄りに配置すれば、南面にある3階建の建物の影響があっても2階においては、終日日射取得及び規定する時間の取得が可能です。
以下の3Dモデリングシミュレーションから1階への終日日射取得が困難であることが見て取れます。
午前中が南側の建物の影響を受け影になっていますが、午後から日射取得が可能なことが確認できました。

 

【当社規定項目の確認】

それでは、以下2点を検証します。
晴天時冬期日照時間(10時間)の6割に相当する6時間を取得する開口を確認し、さらにリビングダイニングキッチンからつながるパッシブソーラーエリア(床面積)に20%の開口面積を確保するよう、開口部設計でファサードを考慮しながら検討します。
上記の面積は、リビングダイニングキッチンにおいて建具(熱の移動を遮る)で仕切る部分までの床面積を算定します。
断熱性能のみ考えるならば日射取得できない南面の窓は作らないほうが良く、窓は屋根・壁に比べると1/6程度の断熱性能で、熱損失が増加するためです。
南面の2階は、規定する日射熱取得時間が3Dモデリングのシミュレーションで確認できましたので、過ごす時間が長いリビングダイニングキッチンを推奨します。
日照時間(冬期10時間)は3Dモデリング(グーグル:スケッチアップ)でシュミレーションを確認、上記の日射熱取得時間、面積共にクリアすることで、当社の断熱性能から冬期晴天時において室温が20度近くまで上昇し、暖房負荷を軽減します。
前々回のブログでもお伝えしましたが、冬期の晴天日数は外気温で最低気温が5度を下回る2021年10月17日から最低気温が10度を超える2022年3月12日までの期間で、約5ヶ月の内7割の100日以上ありますので、自然エネルギーの日射熱を利用することを必須とし、温かい室内で過ごしたいですね。

 

【プライバシー確保】

2階の窓を計画する際、腰高窓(大人の腰の高さからの窓)を作ると周辺建物状況により外からの視線が気になり、プライバシーを守るためカーテン等を締め切ってしまいます。
それを回避する方法としては、緩衝帯を室内と屋外の間に作ることです。
道路面となる東側及び南にバルコニーを作ることでプライバシーが守られ、大開口を作ってもカーテン等を締め切ることなく開放して使用でき、かつバルコニーの手すりまで室内から空間がつながり視覚的な広がりも確保できます。
1階においては外壁面の日射取得が可能な部分が終日ではありませんが半日程度あるため、当社より以下の提案を行いました。
終日日射取得が可能な主階となる2階は、屋根型を利用した勾配天井で大きな空間であるLDKに対して、1階の南西位置は通りから奥まった比較的静かで落ち着いた空間になりうる位置になり午後から日射取得が見込める為、プライバシーの高い空間として庭の樹木、読書などを楽しんで頂くコンパクトで天井の低い造り付けソファがある読書コーナーを用意、この南西エリアはあえて2階バルコニーを作らず日射取得を優先しましたので、暖かく落ち着いた空間で庭を愛でながら過ごして頂きたいと考えています。
今計画においては、プライバシーと日射取得のバランスを考えながらバルコニーの要否を検討することで、実生活においてプライバシーの高い日射取得を最大限利用することが市街地においても可能となりました。

 

 


【個別相談会(オンラインも可能)】

家づくりに悩んだら、フクダ・ロングライフデザインにご相談ください!
性能やデザインのことはもちろん、資金計画や土地探しまで、
家づくりに必要なすべてのステップをサポートします。
(土地探しや物件探しのお手伝いもしております)
詳しくはこちらから→個別相談会

 

【開催予定イベント・セミナー】
私たちと一緒に家のことを学びませんか?
これから家づくりをはじめる方おすすめの「家づくりアカデミー」や、
「家の裏側がみることができる構造見学会」「完成見学会」「お住い拝見見学会」
など様々なイベントを企画しております。ぜひご参加ください。
詳しくはこちらから→開催予定イベント・セミナー

 

【資料請求・お問い合わせ】
コンセプトブックや各種パンフレットお送りします。
ご意見やご質問などお気軽におよせください。

詳しくはこちらから→資料請求・お問い合わせ

 


耐震構法SE構法と無垢無添加による
「パッシブデザイン&リアルZEH」の家づくりを提供する設計工務店です。

新築の注文住宅や既存戸建て住宅の「性能向上リフォーム」、
中古マンションの「木のマンションリノベーション」にも取り組んでいます。

さらに、専属スタッフにより「土地探し・物件探し」もサポート致します。
大阪・神戸・奈良で、土地探し・物件探し、新築注文住宅、
リフォーム・リノベーションをお考えの方はお気軽にお問い合わせ下さい。

 

フクダ・ロングライフデザイン株式会社
〒553-0003 大阪市福島区福島8丁目17番14号
フリーダイヤル:0120-965-830
https://www.fukuda-lld.jp/


     

資料請求はこちら