ー基礎コンクリート養生についてー

2025年6月10日更新

こんにちは。設計チーフの千知岩 賢二です。
今回は、基礎コンクリートの養生についてご紹介いたします。

 

 

■ コンクリート養生の目的

コンクリートの養生とは、セメントの水和反応を十分に発揮させ、計画された強度を得るために行うものです。特に材齢初期(打設直後の期間)においては、コンクリートが外部からの力に耐えうる強度に達するまで、保護することが重要です。

 

 

■ 水和反応と水和熱の影響

コンクリートは硬化の過程で、水とセメントが反応し水和熱を発生させます。この熱によってコンクリートの温度が上昇し、ひび割れの原因になる可能性があります。

 

 

■ 冬期の注意点

冬期におけるコンクリート工事では、コンクリートの温度を**5℃以上(初期養生期間中は2℃以上)**に保つことが求められます。コンクリート内部の水が凍結すると、初期凍害が発生し、強度低下やひび割れの原因になります。そのため、温度管理は非常に重要です。
一般的に、冬期のコンクリート施工には慎重な養生が必要であることは、皆さまもよくご存知かと思います。

 

 

■ 夏期の注意点

一方で、真夏のコンクリート工事においても養生は不可欠です。高温による乾燥やひび割れを防ぐために、コンクリートを常に湿潤状態に保つ必要があります。硬化前に表面に水をかけて水分を保持し、乾燥を防ぐことが重要です。

 

 

■ 暑中コンクリートの定義と期間

暑中コンクリートの適用期間は、「公共建築工事標準仕様書[建築工事編]」(以下、標仕)および「日本建築学会JASS5」にて規定されており、日平均気温が25℃を超える期間とされています。2024年の大阪市においては、6月中旬〜10月初旬が該当期間と気象庁データから確認できます。また、湿潤養生期間は5日間と定められています。

 

 

■ 当社における湿潤養生の実施方法

当社では、下記の社内規定に基づき、品質確保のための湿潤養生を実施しています。施工は2段階に分けて行い、ベースおよび立ち上がりコンクリートにそれぞれ適した養生方法を採用しています。

 

● ベースコンクリート:散水養生(シート養生なし)

  • ブリーディング水がなくなるタイミングで散水開始
    • 午前中に打設した場合:当日夕方に散水
    • 午後に打設した場合:翌日午前中に散水
  • 十分な量の散水を行います。
※ブリーディング水とは、フレッシュコンクリート内で固体成分が沈降し、表面に分離した水が浮かび上がる現象です。

● 立ち上がりコンクリート:散水養生+シート養生

  • ブリーディング水がなくなるタイミングで散水開始
    • 午前中に打設した場合:ベースおよび立ち上がり部のシートの隙間から水を流し込み、全体に均等に行き渡っているかを確認
    • 午後に打設した場合:ベースのみ当日中に散水し、立ち上がり部は翌日午前中に同様に散水
  • いずれも十分な散水を実施します。

 

 

■ 湿潤養生の期間と自動化対応

湿潤養生は5日間連続で行い、1日2回(朝・夕)の散水を基本としています。現場が近い場合はこの対応が可能ですが、1日2回の対応が困難な場合は、灌水用のホースとタイマーを用いて自動的に散水を行います。

■ おわりに

以上のように、当社では品質の高い基礎コンクリートを提供するために、確実な湿潤養生を徹底しております。今後も、安全かつ確実な施工を通じて、お客様に安心していただける建物づくりに努めてまいります。
 

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