こんにちは。
設計の田中 桂です。
皆さんは「HEAT20」という団体をご存じでしょうか。
HEAT20は「20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」の略称で、温熱環境や省エネルギー性能の観点から、これからの日本の住宅がどうあるべきかを研究・発信している組織です。
「G1・G2・G3」といった断熱性能の基準を耳にしたことがある方も多いと思いますが、これらはHEAT20が提示している住宅性能の目安にあたります。
このたび、そのHEAT20が行っている「住まい方実態調査」の対象物件を募集しているという話を聞き、大塚監督のご自宅で協力させていただくことになりました。(もちろんご本人の同意のもとです)
この調査は、実際に高断熱・高気密住宅に住んでいる方々を対象に、夏と冬それぞれの温湿度データを測定しながら、住まい方や暮らしの工夫をヒアリングするというものです。
私も同席させていただきました。
この取り組みは2017年から続いており、長期的な視点で実際の暮らしの中での快適性やエネルギー消費の実態を明らかにすることを目的としています。
当日は、HEAT20と連携している近畿大学の学生の方々が来られ、大塚監督にインタビューを実施。
エアコンの使い方(稼働時間・設定温度など)や、体感温度、補助的な冷房器具の使い方など、かなり細かい質問がなされていました。
さらに、温度や湿度といった数値面だけでなく、体調の変化や音の感じ方など、暮らしの中の感覚的な部分にも踏み込んだ質問があり、私自身も大変参考になりました。
インタビューの中では、窓まわりのハニカムスクリーンやすだれの使い方、通風の取り方、庭とのつながり方など、日々の暮らしの中でどのようにパッシブデザインを実践しているかといった話題にもなりました。
特にここ数年の厳しい暑さを踏まえると、これからの設計では“夏の快適さ”をより意識する必要があるという点で意見が一致しました。
インタビュー後には、一緒に建物を巡りながら、設計意図や実際の暮らし方を照らし合わせて確認しました。
設計者として建物を見つめ直す良い機会にもなり、研究者・住まい手・設計者それぞれの視点から改めて多くの学びを得ることができました。
今回のような実測調査は、設計段階で想定した性能が実際の暮らしの中でどう機能しているかを知る貴重な機会です。
これからも、こうした実際のデータや住まい手の声を設計に反映させながら、より快適で持続可能な住まいづくりを目指していきたいと思います。