ー時間を紡ぐ猪名川町の家ー①

2026年8月17日更新

こんにちは、設計チーフの千知岩です。
 
さて今回は『時間を紡ぐ猪名川町の家』の最適解を導くための方法論についてご紹介したいと思います。
土地購入から終の住処としての二人のお住まいです。
計画地は兵庫県の南東部に位置する自然豊かなベッドタウン、
約80%が深林に覆われた里山風景と都市近郊の利便性を併せ持っており、瀬戸内型と内陸型気候の2面性をもち、周辺土地に比べて涼しいのが特徴です。
町内には、大型ショッピングモールがり、日常の買い物には困りません。
敷地は、北東に6M道路、北東から南東に80センチほどの下り傾斜です。
計画地から隣接地の高低差が、南西から約−1.4M、南区画が約−2.7M、南東区画が−80センチあり
第1種低層住居専用住宅に指定され壁面後退が1Mでほぼ整形な約65坪の敷地です。
 
ご要望は
・長く美しく経年変化も楽しめそうな家
・SE構法
・冬暖かく、夏涼しい室内
・自然素材を沢山取り入れて欲しい
・周辺の視線を気にぜず生活がしたい
・書斎が欲しい
・穏やかにライトアップされた小さな和の庭をLDKから眺めることができる
 
計画の課題及び提案
①−1.土地利用計画とゾーニング計画
②.プライバシーの確保と終日日射取得の両立
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検討を重ね最適解に至った方法論ですが、
①−1.今回の計画地は整形な敷地である中で、周辺状況、北東側道路でプライバシーも考慮し、どの方向に開き、閉じるか、日射取得、駐車スペース、玄関・アプローチの土地利用計画を検討します。
 
【周辺状況他】
敷地はほぼ整形で、東西・南北ともに約14m、北東側で約6mの道路に接しています。道路との高低差は東側で-約80cm、周囲の敷地とは、南西側で-約1.4m、南側で-約2.7m、南東側で-約80cmの高低差があります。
周辺はすべて2階建て住宅で、それぞれの建物配置や開口部、空地の状況を読み解きながら、周辺環境との関係を整理しました。
南東側の建物は南側を庭として利用しており、視線の抜けとなる空地があります。
南側の建物は、下屋を設け、2階部分をセットバックした配置。2階にはいくつか小窓があるものの、視線の干渉はさほど感じられません。
南西側の建物は窓が多く点在していますが、北寄りに配置され、南側の2階部分もセットバックしているため、こちら側にも空地があります。
一方、北西側は敷地間口いっぱいに建物が配置され、窓も点在しています。
このような周辺環境を読み解きながら、まずはプライバシーや日射、視線の抜けを考慮し、建物をどこに配置するべきか検討を始めました。
 
北東道路(道路から敷地を見る)
計画地から南東の隣家
計画地から南の隣家
計画地から南西の隣家
計画地から北西の隣家
 
【建物配置及び建物形状検討】
周辺住宅が建ち並ぶ中、プライバシーに配慮し明るさと暖かさを住宅内に届けるため、敷地配置及び建物形状の検討に入りました。
真北方向については、北東側道路軸から45度(道路側に)の角度です。
それでは建物配置に至るまでを以下の順に沿って検討していきます。
 
①敷地を読む
建物の背中を決め、水廻りの配置
道路からのアクセス位置(アプローチ)を決める
②コンセプトを作る
③駐車・駐輪スペース・樹木位置を検討
車は安全に配置し、樹木を植える場所を決める
④建物のボリュームを検討
面積算定し、ゾーニング
⑤シミュレーション
デッキ、アクセスの設え、馴染ませる
 
①敷地を読む
今回の計画では、プライバシーを守りながら南面の日射を最大限に活かすため、まず周辺環境を丁寧に読み解き、室内とつながるまとまりのある庭をどこに配置するかを検討することから始めました。
南東から南側の隣接建物は窓が少なく、南の庭や下屋、さらに敷地の高低差によって空へと視線が抜けるため、プライバシーを確保しながら庭を設けるには恵まれた条件です。
南側の隣接建物とは敷地に約1層分の高低差があり、こちらからは隣家の2階部分が視界に入ります。ただし、真南からの視線は隣家の窓と正対しないため、視線の干渉は少ないと判断しました。
一方、南西側の隣接地は窓が多いものの、南寄りには空地と建物のセットバックがあるため、この一帯を庭の一部として活かせそうです。窓の多さを考慮し、計画建物は開口部を極力抑え、外壁を「背中」として設備機器のスペースを配置する計画としました。
北西側の隣接建物は、境界に迫り敷地間口いっぱいに建物が配置され、窓も点在しています。そこで隣棟間に一定の距離を設けることで、視線を調整するとともに、街並みにもゆとりを生み出します。
アプローチは、道路との高低差が比較的小さい北側からの動線としました。
 
②コンセプトを作る
今回の住まいづくりについて、以前より設計を進めてこられたことを伺い、その中で、どこか納得のいかない状況に至った経緯についてもお聞きしました。
ご夫妻への設計ヒアリングをはじめ、これまでのお話を伺う中で、これまでの家づくりや、お住まいに対する思い、こだわりを深く受け止めました。
ご夫妻がこれまで歩んでこられた道のり、そして、さまざまな出来事を重ねてきた夫婦の時間。その一つひとつを大切に紡ぎ、これからの人生へとつないでいく「終の住処」となればとの思いから、『時間を紡ぐ猪名川町の家』をコンセプトタイトルとしました。
 
③駐車・駐輪スペース、樹木位置を検討
計画地は、開発後の分譲宅地であるため、道路と敷地の高低差はコンクリート擁壁で整備されています。駐車スペースは、道路との高低差が比較的小さい北西側に配置しました。
新たに植える樹木については、植物に詳しい奥様にとって、これからの暮らしの楽しみの一つでもあります。時間をかけながら、ゆっくりと検討していきたいとのご希望を伺い、どのような庭が育っていくのか、私たちも完成を楽しみにしています。
 
次回は計画の課題①−2.建物のボリューム検討からゾーニング計画についてお伝えさせて頂きます。

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