ー四季の移ろいと共に暮らす家ー①

2021年10月1日更新

さて今回は『四季の移ろいと共に暮らす家』第1回、計画課題.①−1の最適解を導くための方法論についてご紹介したいと思います。
 
 
土地探しからスタートされたご夫妻の2階建てのお住いです。
 
計画地は西側に4.4Mの道路、南西付近で4Mの丁字路に繋がります。
敷地高低差はほぼなく、北・南側には2階建住宅の駐車スペースに隣接し、東側には2階建のアパート、真北は西側道路に対して10度ほど西に傾斜した、都市計画法上の道路後退制限のない第一種低層住居専用地域に指定された整形な約55坪の土地です。
 
 
 
ご要望は
・メンテナンスがしやすいように
・キャンプ道具等、大容量の収納スペース希望
・LDK内に仏壇スペースが欲しい
・キッチンで作業しながらTVが見たい
・屋根付の干場が欲しい(良く乾く位置)
・開放感のある浴室
・駐車場は屋根、進入防止対策
・客人用の収納が欲しい
 
 
 
計画の課題及び提案
①.土地利用計画と家事動線に配慮したゾーニング計画
②.プライバシーの確保と終日日射取得の両立
 
 
 
検討を重ね最適解に至った方法論ですが、
①−1.今回の計画地は、第一種低層住居専用地域でありながら都市計画法上の外壁後退制限がないため隣接建物に囲まれ、室内からの開放感・プランバシー確保・通りへの圧迫感・駐車スペースの出入のしやすさ等を検討する必要がありました。
 
 
 
【周辺状況他】
街区は50坪前後の区画で形成された閑静な土地です。
 
北側は将来建替えが想定される、開発当時から住み続けておられるであろう年配夫婦の2階建住宅で、境界に接して駐車スペース、北東側に倉庫が設置されており比較的ゆとりをもった土地利用をされています。
 
東側はこちらも開発当時からであろう2階建アパートが建ち、計画地ぎりぎりに窓のない外壁が境界線付近に迫っています。
 
南側は北側と同じく駐車スペースとその奥がアプローチ・玄関です。
 
道路を挟み西側隣接地は道路境界いっぱいに2階建が建っています。
 
唯一、南西付近が丁字路で圧迫感のない開いた空間が存在していました。
 
上記のような状況で、駐車・駐輪スペース・樹木・建物配置をどうすべきか検討に入りました。
 
 
 
【土地利用計画】
まず駐車スペース2台分の出入りのしやすさ、西側道路の南境界付近に丁字路があり出入のし易さから自ずと位置は決まりました。
 
玄関門扉は玄関入り口までのアプローチと駐車・駐輪スペースからもアクセスしやすい位置、道路境界線上の間口14Mの中央あたりを門扉入り口としました。
 
玄関は建物南面の外壁面をできるだけ機能性をもたせた窓を設置したいため、サイドアプローチとし、道路際には植樹の余白を残しながら建築塀を用いて玄関のプライバシーエリアを作りました。
 
同時に建物配置の段階から、建物内部から何を見るかも合わせて検討します。
 
今回の計画では遠景・借景等は期待できない為プライバシーの高いお庭を作り、造園家の下村氏による提案で、お庭のウッドデッキ後方と手で触れられるくらい窓近くに植物を配し、緑の雲(室内に落葉樹の影)が室内の床面に影を落とし四季の移ろいを感じさせます。
 
玄関門扉位置後方には建物に隣接するように外壁と仕上を合わせ目立たないよう建築の壁・屋根で駐輪スペースを作りお庭の緩衝帯として、その奥にお庭を配しました。
 
最後に建物の配置ですが、北を背にしてたくさんの日射熱を取り込めるように東西に長く、さらに中央に配置したお庭(中庭)を囲むように東側のアパート側にもプライバシーを配慮し、南側に一部余白のスペースを残しつつ建物をL字形に作りました。
 
上記からゆとりのない玄関・ウッドデッキのお庭は建築塀などを使って適度なプライバシーを作り、駐車スペース後方の南側の余白空間に繋がるお庭は防犯に配慮したウッドフェンスでプライバシーを保ちながら、余すことなくバランスの良い土地の有効利用が可能となりました。
 
 
 
 
次回は計画の課題①−2.ゾーニング計画についてお伝えさせて頂きます。

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