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いつもと異なるブログタイトルは、少し前に読んだ吉田修一さんによる作品集の表題です。
映画化された『楽園』や『怒り』が記憶に新しい著者ですが、
幾多もの喜怒哀楽とその機微を巧みに描く好きな小説家のひとりです。

ささやかだけれど忘れられない記憶を描いた12の短篇と、東南アジアから北欧まで、
6つの町での出会いを綴ったエッセイの詰め合わせは、劇的な物語や壮絶な体験談はなくとも、
パッケージ化の妙によるものだと感じますが、読み終えて装丁をしげしげ眺めてしまう印象深い本でした。

初出はANA機内誌の連載だそうで、旅先への道中、
日常との乖離が進む上空で触れられたら、なお素敵な作品群だと納得です。

本の装丁と似た写真は、まだ設計担当を任される前のこと、
家づくりコミュニティの集いで鹿児島へと研修へ向かう機内から撮影した一枚。
読了後にふと思い出し写真フォルダを2016年まで遡りました。

収録短篇に、主人公が上空の機内からあることを切に願う場面があるのですが、
僕は仲間と共に学びへ向かう道中に何を思っていただろう。(となりの席には田中君と鳴瀬さんが)
きっと大それたことなど思っていないとしても、些末な感情の機微をも掬い絶妙に描写する著者にかかれば、
ここに並ぶ物語へと昇華してくれるのかもしれない…とか思ってみたり。


オフラインでの研修や情報交換の場が再び提供される日を夢想し、
あれからの数年間を回想する時間を得られた今回のブログでした。