ーヴォイドから派生する豊中の家ー③

2022年12月23日更新

さて今回は『ヴォイドから派生する豊中の家』第2回、計画課題.②の最適解を導くための方法論についてご紹介したいと思います。
 
 
土地探しからスタートされたご家族3人の2階建てのお住いです。
 
 
 
計画地は、豊中市北部に位置し、箕面市に隣接する古い住宅地で、桜並木が有名な街並みでもあります。
南側4M道路、4区画分譲地の南西側に位置し第1種中高層住居専用地域に指定された南北に長い約33坪の土地です。
 
 
 
ご要望は
・すっきりした外観
・瓦屋根
・大容量の収納が欲しい
・動きやすくコンパクトな動線
・ヌック空間がほしい
・家族が自然とリビング(1階)に集まる家にしたい
・洗濯動線は同一階で完結したい
・中間領域、共有空間を豊かに
 
 
 
計画の課題及び提案
①.土地利用計画とゾーニング計画
②.プライバシーの確保と終日日射取得の両立
 
 
 
検討を重ね最適解に至った方法論ですが、
②.パッシブデザインにおいて日射取得検討は、周辺建物の影響から敷地における最も日射熱取得の高いエリアを探すことから始めます。
 
【日射熱取得について】
冬期晴天の日に、社内規定(窓の面積及び日射熱取得時間)以上の日射熱取得ができればリビング・ダイニング・キッチンエリアは、エアコンを稼働させることなく20度近くまで室温が上昇し暖かい室内環境が得られます。
それでは、検討するプロセスをご紹介したいと思います。
 
まずは前々回ブログ①でご紹介しました周辺状況を把握し、周辺建物の位置・高さをできるだけ正確に確認します。
要望よりリビング・ダイニング・キッチンの主階が1階にあることで、道路対側の2.5階ほどの高さとなる2階建住宅から冬期の日射取得が可能か断面検討にて確認します。
冬期の太陽高度が約30度であるため、1階床面に十分な日射取得を得ようと対側建物高さから計算すると建物隣棟間は約12M程必要です。
しかし配置計画上道路からの建物後退距離は約4M、道路が4M、道路対側の建物は道路からほぼ後退がないため、日射取得上1階の窓のみでは十分とはいえません。
また玄関エリアがあるので建物間口全域を取得用の窓にすることができないため、2階の窓を1階エリアに含めた吹き抜けにすることで取得量を社内規定に近づけるよう、バランスを考えた1階同様の大きな窓を提案しました。
 
普及品のサッシで断熱性の高いものの内、大きな窓は引き違いサッシもしくはFIXサッシにて連結部材を使う方法があります。
準防火地域の場合防火サッシに於いては、法22条エリアで使用できるサッシより7割程度の間口しか取れないため、ファサードの意匠面において十分な検討が必要です。
今計画に於いては準防火地域のため、防犯性とコスト面から1階を引違いサッシのシャッター付き提案から、吹き抜けも同仕様の引き違いサッシで統一感を持たせ提案をしました。
 
次に社内規定の日射熱取得時間を検討します。
日射熱取得時間に於いては、周辺建物を考慮した3Dでの確認が必要なためモデリングソフトを使っての検討になります。
南面のみではなく建物間口からリビングを北東側に配置した東面にも、道路側同様の敷地外空地による日射熱取得が若干ですが補うことが可能と判断ができました。
 
冒頭にご説明しました社内規定以上の日射取得は、高い断熱気密による保温性能から以下の検討にて定量的な裏付けを行います。
①暖房期日射熱取得率のηAH(イーターエーエイチ)値:日射取得量から外皮面積で除し、パーセンテージにて算出
②LDKの日射熱取得率:リビング・ダイニング・キッチンエリアに該当する日射熱取得開口からエリアの床面積で除し、パーセンテージにて算出
③日射熱取得時間:冬期日照時間の6割
 
 
【プライバシー確保について】
上記から日射熱取得は、プライバシー確保と密接した関係性にあります。
今計画では特に1階で道路面、東側隣接地のアプローチからのプライバシーがないとカーテン等で締め切ってしまい、折角の熱取得が損なわれます。
 
そこで最適解として、中間領域(外と内の間)を作ることで解決できます。
バルコニーはその一例で、一般的に2階に於いては有効な手段の一つです。
プライバシーエリアを窓から外に作ることで窓は常に開放させることができ、前回及び前々回にご説明したダイニング・リビングについて、大きな庭を一つ用意するのではなくそれぞれのエリアに必要最小限の庭を提案することは我々がよく提案する手法です。
 
ダイニングでは、目隠しに外壁と同じテクスチャーの塀を用意することもあるのですが、今計画に於いては敷地高低差があまりないため通風を考慮してウッドフェンスで視線を遮り、床面にウッドデッキの提案も行いました。
道路面でありながら外でも食事を楽しめる空間は、室内から窓までの奥行き以上に空間として取り込める効果があり、必要最小限の室内空間で広く感じられる効果をもたらしてくれます。

ーヴォイドから派生する豊中の家ー①(前々回ブログ)

 
リビングにおいてもダイニング同様、ウッドフェンスで目隠しになる高さまで作ることで、冬期・中間期に窓は常に開放することが可能です。
さらに日射熱取得からのプライバシー確保だけではなく、家具配置を検討し、そのエリアにおいて室内から何を見るかを常に同時に考えることで付加価値としての快適性が広がります。
窓越しにソファを配置して窓をソファの高さから上部に作り、樹木を建物際に手で触れられる近くに樹木があることで、緑を近くに感じられるような設えを提案しました。
特にキッチンに於いて、2次元の平面上では明るさの面から条件の悪い配置で半クローズ的に設え暗く感じられますが、立体的に見るとリビング、ダイニング方向共に抜けがあり、中間領域に至る奥行きと明るさの広がりを十分感じての生活から家事を楽しみにする生活に変えるとまでは言い過ぎかもしれませんが、日々を楽しみながら生活を豊かに感じて頂けているのではないかと思っています。

ーヴォイドから派生する豊中の家ー②(前回ブログ)

 
本年も昨年同様住まいのプロセスを中心に、皆様の住まいづくりのヒントとなるようお伝えさせて頂きますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

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