SE構法の特性を活かした大胆なオーバーハングが、限られた敷地に豊かな空間を生み出す。張り出した2階は駐車スペースの屋根と玄関アプローチを兼ね、都市型住宅に求められる機能と快適性を両立。道ゆく人の視線をほどよく遮りながら、内には静かで開放的な暮らしが広がる。街の営みにそっと馴染み、住まい手の個性を映し出す佇まい。
南側に計画された開口部からやわらかな光が差し込み、天井高3.3mののびやかなリビングに広がる。パッシブデザインを意識した窓配置により、自然光と通風を効率的に取り込み、一年を通して快適な室内環境を実現。家族の時間が、光とともに穏やかに流れる空間。
キッチン上部には、家族のライフスタイルに応じて使い分けできるロフト空間を確保。空間の縦方向の広がりが、日常に豊かな変化をもたらす。リビングダイニングと階段室を間仕切る建具にはウォルナット材を用い、床や家具と樹種を揃えることで、室内全体に統一感と落ち着きを演出。
14帖という限られた面積ながらも、3.3mの天井高と南面に設けた大開口・ハイサッシの効果で、実際以上の広がりと開放感を感じられるリビング・ダイニング。自然光がやわらかく行き渡ることで、時間帯によって異なる表情を楽しめる、伸びやかな暮らしの場となっている。
2階リビングに設けた大きな掃き出しサッシは、日射をたっぷりと取り込みつつ、上下可動式のハニカムブラインドによって断熱性と調光性を両立。冬は暖かさを保ち、季節や時間帯に応じて柔軟に調整することで、一年を通して快適な室内環境を実現。
天井付近に設けた高窓は、パッシブデザインの考えに基づき、日中の自然光を室内奥までやさしく届ける役割を担う。直射を避けつつ、空間全体に安定した明るさをもたらし、照明に頼らない心地よい暮らしを実現。
南側に設けた開口部が、一日の光の移ろいをダイニングに丁寧に導く。朝は東の窓から差し込むやわらかな朝日を浴びながら一日をはじめ、夜は高窓から覗く月の光を感じながら夕食を囲む。そうした自然のリズムを暮らしに取り込むことを意図し、窓の配置や高さ、方位を緻密に設計。季節や時間とともに表情を変える光が、家族の食卓に静かな豊かさをもたらす。
リビングの一角に設けた造作のワークスペースは、家族とのつながりを保ちながら作業や学びに集中できる場所。最小限の奥行きとシンプルな棚構成で空間に圧迫感を与えず、自然光が差し込む窓際の心地よさと相まって、日常にほどよく溶け込むデスク空間。
リビングに設けたワークスペースは、来客時に視線を遮るロールスクリーンを備え、生活感をさりげなくコントロールできる工夫を。さらにこの場所は、将来的にホームエレベーター(EV)を設置する可能性を想定し、計画段階から荷重条件を構造計算に反映。EVを追加しても構造体に影響を与えないよう、配置・構造ともに柔軟性を持たせた設計に。
少しゆとりを持たせた洗面脱衣室には、床材と色味を揃えた木製カウンターを設置。焼酎・ベンガラ・豆乳など、天然素材を使った赤ちゃんが舐めても安心な自然塗料で仕上げることで、素材のぬくもりと安全性を両立。また、浴室扉は将来の使い勝手を考慮して開き戸を採用。家族の成長や変化にもやさしく寄り添う、暮らしに根ざした設計。
ロフトの床には、無塗装の杉板を採用。お客様ご自身の手でキヌカの自然オイルを塗装することで、木の温もりを生かしながら、住まいへの愛着を深められる空間に。南からの光が差し込む明るく広がりのあるロフトは、収納・趣味・子どもの遊び場など多用途に対応する可変性を持ち、これからの暮らしに寄り添う余白に。
《お施主様の声》 プレゼンで見せていただいた日照シミュレーションの通り、冬は暖かい日差しが室内の奥まで差し込んで、ぽかぽかととても気持ちよく過ごせます。逆に夏はしっかり日射が遮られて、思っていた以上に涼しく快適です。 以前の家では冷暖房を頻繁につけていたのですが、この家に住んでからはエアコンの出番がぐんと減りました。自然の力をうまく取り入れた設計のおかげで、1年を通して本当に心地よく暮らせています。
建築概要
- 設計担当
- 千知岩賢二 中井望記子
- 建築概要
- 耐震構法SE構法2階建て
- 建築面積
- 53.26m2(16.11坪)
- 延床面積
- 98.52m2(29.80坪)
- 施工面積
- 112.62m2(34.07坪)
- 敷地面積
- 89.52m2(27.08坪)
- 建ぺい率
- 60%
- 容積率
- 200%
- 耐震等級
- 等級3(最高等級)
- 耐風等級
- 等級2(最高等級)
- 断熱等級
- 等級4
- 温熱地域区分
- 6地域
- 年間日射量地域区分
- A4区分
- 用途地域
- 第二種中高層住居専用地域
- 防火地域
- 準防火地域
- 耐火構造
- 防火構造